【TRY】中東混迷はリラ反転のきっかけ

アメリカのトランプ大統領がエルサレムをイスラエルの首都として認定する意向を示し、今後中東地域が紛争など混乱に陥る可能性があります。その際、トルコが当事国の調停に成功し国際社会からの信頼を高めれば、投資対象として再評価されるかもしれません。

トランプ政権の中東外交に世界中から非難

アメリカのトランプ大統領は、2016年の大統領選で公約の1つに掲げていたイスラエル寄りの政策を推進しつつあります。同大統領はイスラエルの首都をエルサレムと認定し、そこにアメリカ大使館を移転させるとの考えを表明。中東戦争でイスラエルがエルサレムを占領しその後実効支配していますが、パレスチナ自治政府は東エルサレムを首都とする姿勢を崩さず、双方が領有権を主張しています。
エルサレムがイスラエルとパレスチナのどちらに帰属するかは、今後の和平プロセスのなかで決めるとあいまいに位置付けることで、イスラエルとアラブ・中東諸国は以前のような泥沼の戦争状態を回避してきました。今回トランプ政権下のアメリカがイスラエル側の主張を認めたとなれば、イスラエルを共通の敵とする中東・アラブ諸国の反発は必至です。金融市場で警戒の円買いが強まった背景はその点にあります。

トルコに求められる当事国間の調停

今年10月、トルコはアメリカとビザ発給停止をめぐり対立し、その問題と前後してトルコはイランに接近しています。他方、トランプ大統領はイランが2015年に欧米6カ国などと締結した核合意を認めない見解を示したことで、トルコとイランは反米で一致。ただし、トルコは親アメリカのイスラエルと中東・アラブの間を取り持つことができる唯一の地域大国で、地域のバランスを維持するためには貴重な存在です。
今後の中東情勢次第では、そのことがトルコの存在意義を高めることになるでしょう。これまでの世界の常識をことごとく破壊するトランプ政権は、国際社会における相対的な地位低下を免れることはできず、トルコはヨーロッパ連合(EU)からの信頼も得やすいのではないでしょうか。かつてアタチュルクが述べた「内に平和、外に平和」はトルコ外交の基本方針ですが、今こそそれが生きる時だと思われます。

和平への尽力で過去最安値圏のリラ買戻しも

トルコの目下の懸念はリラ安に歯止めがかからないことです。トルコリラは12月にかけて1ドル=3.98リラまで弱含み、今年1月に付けた過去最安値を更新しました。足元は下げが一服しているものの、欧米との関係悪化や経済への影響に懸念からリラの先安懸念は払しょくされていません。ただ、エルドアン政権の外交による平和解決への取り組みが見直されれば投資魅力が増し、長期的にリラ買いにつながる可能性もあるでしょう。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする