【USD】2018年の米利上げは3回以下か

アメリカの11月雇用統計は、来週の利上げの観測を後退させる内容ではなかったものの、2018年に向けて強気になれる内容ではなかったように思えます。やはりインフレに力強さが感じられず、今後の引き締めペースに悲観的な見方が広がる可能性もあります。

失業率は横ばいも、賃金は伸び悩み

12月8日に発表された11月雇用統計は失業率4.1%(予想4.1%、前回4.1%)、非農業部門雇用者数は前月比+22.1万人(予想+20.0万人、前回+26.1万人/修正後+24.4万人)、平均時給は前月比+0.2%(予想+0.3%、前回0.0%/修正後-0.1%)となりました。失業率は前回、予想と一致し、非農業部門雇用者数は予想を上回ったものの、前月分は下方修正されました。
インフレにつながる平均賃金は、予想を下振れるとともに10月分もやはり下方修正されています。10月31日-11月1日に開かれた連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨によると、メンバーは引き締め方向で一致したものの、物価上昇率に関しては見解が分かれたようです。市場ではそのことが意識されたのか、雇用統計発表後のドル・円はいったん上昇した後に値を下げる展開となりました。

U6失業率の低下一服、労働参加率は横ばい

さらに詳しくみると、広義の失業率を示すU6失業率は8.0%にとどまりました。2006年12月以来の低水準となった10月の7.9%からそれほど悪化したわけではありませんが、改善は一服しています。いったん労働市場から撤退した人が労働市場への復帰を示す労働参加率も、11月は10月から横ばいとなり上昇が止まってしまいました。これらの内容から、雇用情勢改善のペースは鈍化していると言えそうです。

引き締めペースは加速せず、ドル買いは限定的

連邦準備制度理事会(FRB)は、12月12-13日開催の連邦公開市場委員会(FOMC)で今年3回目の利上げに踏み切る公算です。来年2月に任期切れを迎えるイエレンFRB議長は、当初はハト派寄りと位置付けられていましたが、いつの間にかタカ派寄りとみられるようになり、最終的に年3回の「公約」を守って退任します。トランプ大統領は、やはり低金利を維持しながら政策運営を進めたい考えのようです。
ただ、例えばインフラ整備のような公共事業の拡大は、現在の完全雇用に近い状況でそれほど大きな効果を発揮するものでしょうか。また、実際に効果が表れるのに時間はかかるとみられます。トランプ大統領が目論むような成長は見込めず、したがってインフレの押し上げ効果は乏しいでしょう。そうなると、来年の引き締めは従来見通しの3回から加速は想定しづらく、「3回以下」が妥当な見方だと考えます。

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