【TRY】「中国特需」が下支え

過去最安値圏に沈むトルコリラは、関係の悪化するアメリカから制裁を受ければ経済への打撃は大きく、一段安が見込まれます。ただ、2018年は海外からの渡航者の増加でリラ買い需要も期待され、底堅い値動きになる可能性があります。

先安観は継続、対米関係悪化を嫌気

2017年のリラは前年のアメリカ大統領選直後に始まった「トランプ・ラリー」で、年初も売りが先行し、1月には過去最安値となる1ドル=3.94リラまで下落しました。その後、いったんは3.39リラまで回復したものの、今年10月にはアメリカとの間でビザ発給停止をめぐり対立。再びリラ売り圧力にさらされ、11月下旬には1月に付けた安値を下抜け3.97リラまで弱含みました。
2016年7月に発生したクーデター未遂事件でアメリカ在住のイスラム教指導者の身柄引き渡しのほか、「イスラム国」掃討でクルド人部隊への支援に関連し両国の関係は冷え込んでいました。そこへアメリカのイランに対する経済制裁にトルコが協力しなかったとして、アメリカの当局がトルコ人の実業家を起訴。トルコの主要金融機関に対する制裁の影響が懸念され、リラ売りが強まりました。

国内経済は回復、観光旅行が原動力

アメリカの利上げサイクル入りでドル買い・リラ売り基調に振れていたにもかかわらず、リラが秋口にかけて3.39リラ付近まで持ち直したのはトルコ経済の改善が顕著になっているためです。12月11日に発表された7-9月期国内総生産(GDP)は前年比+11.1%と、約6年ぶりの2ケタ成長となりました。その他の経済指標からもファンダメンタルズの回復が示されています。
他方、インフレの影響が一段と強まっています。11月のトルコの消費者物価指数(CPI)は実に前年比+13%と、観測史上最高レベルに達しています。トルコ中銀は12月14日の定例会合で政策金利の1つである後期流動性貸出金利を0.5%引き上げました。しかし、引き上げ幅が市場予想を下回ったことから、中銀の思惑に反してリラ売りが強まりました。引き続き中銀の通貨防衛に対する姿勢がリラ売りを弱める要因となりそうです。

そろそろ大底?「切り札」でリラ反転も

トルコ経済回復の1つの要因として、海外からの観光旅行者の流入が挙げられます。旅行者数は今年に入って増加に転じ、それが経常収支の改善や国内経済の活性化につながっているようです。さらに、2018年は中国の「トルコ観光年」で中国人のトルコへの渡航が大幅に増加する見通しです。中国人旅行者の日本での消費は年間1兆円を超えます。それに及ばないものの、リラにとっては「爆買い特需」と言えそうです。

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