【ILS】2018年は上げ渋りか

イスラエルシェケルが昨年以降、騰勢を強めています。1月12日に対ドルで6年超ぶりの高値圏に浮揚し、なお先高観が続いているようです。ただ、2018年は主要国が引き締めに動き始める見通しで、シェケルは相対的に上値が重くなるでしょう。

政策金利は最低水準も、6年超ぶり高値

イスラエルシェケルは1年前の2017年1月以降、春先を除きほぼ一貫して上昇基調が続いており、この1年間で大幅に値を切り上げました。今年1月12日の取引では、1ドル=3.3918シェケルまで強含み、直近高値の2014年8月の3.3960シェケル付近を6年5カ月ぶりに上抜けました。1月16日発表の7-9月期国内総生産(GDP)確定値が改定値(前年比+3.5%)並みの伸びが示されれば、一段高となる可能性があります。
イスラエルは世界トップクラスのハイテク産業を抱えており、シェケル高は同国GDPの3割を占める輸出に不利になります。イスラエル中銀は断続的に為替介入などで通貨高回避の政策を進め、2015年12月に政策金利を0.25%から0.10%に引き下げました。その後2年間据え置き、足元も低水準が続いています。ただ、消費者物価指数(CPI)は昨年9月からプラスに転じ、シェケルが買われやすい地合いに変わりはありません。

国内経済は堅調も、シェケル高圧力は緩和

欧州中銀(ECB)や英中銀など主要国の中銀が金融緩和を継続しており、低金利でも高成長かつ将来性もあるイスラエルにマネーが流入し、シェケルを押し上げてきました。ところが、昨年12月14日に開催されたECB理事会で、2018年は緩和的な金融政策を段階的に縮小していく、との方針が議事要旨から明らかになりました。他の中銀も金利正常化の姿勢を強めており、シェケルの押し上げ圧力は緩和される方向になってきました。

主要国の緩和縮小に反応、中東情勢の懸念も

シェケルは2017年にドルだけでなくユーロやポンド、円など主要通貨に対して強含みましたが、各国中銀の政策転換によって今年は上昇ペースが鈍化するかもしれません。また、中東情勢の不安定化の懸念は、シェケル売りにつながる可能性があります。特に、アメリカのトランプ大統領がエルサレムをイスラエルの首都と認定したことで、今後の和平プロセスに警戒が広がりつつあります。
実際、トランプ大統領の首都認定直後の昨年12月11日、ニューヨークでテロとみられる事件が発生。イスラエルへの影響が懸念され、シェケルはいったん売られる展開となりました。その後、過激派組織「イスラム国」も報復措置としてアメリカ本土でのテロ実行に言及しています。親米のイスラエルもその標的になる可能性も否定できません。こうした地政学リスクの点でも、シェケルの上昇圧力は弱まる見通しです。

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