【USD】エクアドルでドル化「実験」継続

中米エクアドルが2000年に独自通貨を廃止し、ドルを正式通貨としてから来年でちょうど20年。同国の経済は当初安定に向かったものの、数年前の原油安・ドル高の影響で成長は鈍化しており、ドル化政策の綻びが目立ち始めています。

ドル化の負の側面が顕著、「市民革命」は後退も

アルゼンチン、メキシコ、ブラジルをはじめ、中南米諸国の経済は1980年代から破たんと再生の繰り返しです。再生する過程で反米感情が生まれ、政治情勢に変化が生じるといった特徴がみられます。エクアドルはその典型例ではないでしょうか。1990年代終盤はアジア通貨危機の飛び火や原油価格の下落もあり、債務不履行に陥ったことにより自国通貨を廃止し、ドルの使用に踏み切ります。
2000年代に入ると、ドル化政策の定着とともに原油価格の上昇などが寄与し、安定成長が続きます。2008年のリーマン・ショック後の成長はやや鈍化したものの、すぐに回復しました。しかし、2014-15年の原油安で税収が落ち込み、公共事業の減退、消費マインドの悪化などで2016年はマイナス成長に転落。2017年もさえない状況が続きました。そのような混乱のなか、ドル化政策の問題点がクローズアップされてきました。

2年目を迎える新政権、原油高に救われるか

ドル化政策のなか、エクアドル中銀は自立的な金融政策を運営することができず、財務省証券の引き受けや中銀証券の発行などにより資金の流動性を確保してきましたが、アフリカのジンバブエ同様、当然ながら独立性などは担保されていないといった問題点があります。また、独自通貨があれば原油などの輸出入を通じた通貨の需給による調整も期待できますが、エクアドルにはそうした機能も期待できません。
同国内にはドル化政策の転換に関する議論もあるようです。ただ、現在のような景気が低迷するなかで独自通貨を導入すれば、切り下げ圧力がかかりドル建ての債務に圧迫される事態が予想されます。結果として債務不履行に陥るため、実質的に独自通貨を持つことが困難と指摘されています。ほぼ同時期にドル化政策に移行したエルサルバドルも、同じような問題を抱えているようです。

トランプ政権に命運も、アサンジ氏の扱いも焦点

2007年1月に就任したコレア大統領は、IMF主導の新自由主義が格差を拡大させたとの主張のもと、公共事業を精力的に拡大するとともに福祉を手厚くする政策を進め、生活水準を引き上げました。ただ、こうした原油高を前提とした政策は、裏を返せば原油安では成り立たなくなります。それでも、昨年行われたコレア氏の任期満了に伴う大統領選では、コレア氏の後継であるモレノ氏が選出されました。
反米を建前とするモレノ政権は最近、トランプ大統領が支援するウィキリークス創始者のアサンジ氏の国籍取得を認めました。アサンジ氏は、2016年のアメリカ大統領選の民主党候補だったクリントン氏の極秘情報を持つとされる人物ですが、そのことがエクアドルとアメリカとの関係を改善に向かわせるでしょうか。

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