【USD】「おのずと」ドル高

アメリカのムニューシン財務長官がドル安を容認すると、翌日にはトランプ大統領が強いドルを主張。政権の為替政策はどうなっているのでしょうか。ただ、大統領の発言をよく聞くと、当面のドル安を容認したとの市場の理解は正しいと思われます。

「弱いドル」VS「強いドル」、外為市場は混乱

1月22-26日の週のドル・円は、やや値の振れやすい展開となりました。世界の財界人が集まる恒例の世界経済フォーラム(ダボス会議)に出席したアメリカの要人による発言が手がかりです。まず、ムニューシン氏が「弱いドルは良いこと」などと述べたことでドル売りが強まり、ドル・円は大方の市場参加者が想定する110-115円の下限を下抜け、一段の下落に弾みがつきました。
ダボス会議とは別に、トランプ政権は北米自由貿易協定(NAFTA)の見直しについてカナダ、メキシコの3カ国で協議を再開。アメリカが優位になるような方向にならなければ脱退も辞さないとの姿勢を改めて打ち出し、保護主義的な貿易スタンスを嫌気したドル売りの流れに傾いていました。そこへムニューシン氏のドル安容認発言が加わり、ドルを押し下げる展開となりました。

トランプ大統領のインタビューで、やっぱり・・・

その翌日、トランプ氏は経済専門テレビのインタビューに応じました。そこでのやり取りを聞いてみると、財務長官のドル安容認発言について「誰もが為替についてコメントするべきではない」と官僚の振り付け通りの前置きをした後、自分の目指す通りに政策を進めれば「(おのずと)ドルは強くなる」と明言しています。「強いドルが望ましい」などとは言っていません。
その発言を受け、外為市場ではムニューシン氏のドル安容認発言を打ち消したと受け止められ、ドルはいったん買い戻されました。ただ、その買戻しは長続きせず、ドルは一時108円30銭付近まで売り込まれます。トランプ氏の「(おのずと)ドルは強くなる」という発言のニュアンスは、足元のドル安を特に問題視したものではなく、「結果的に」あるいは「長期的に」ドル高になると理解されたためです。

日銀は「異次元緩和」継続も、過剰な表現が必要か

その市場の理解は、正しいでしょう。つまり、ドル安により輸出で稼ぎ、アメリカ経済が強くなってくれば意図せずともドル高になるというのがトランプ氏のスタンスではないでしょうか。ところで、日銀の黒田東彦総裁が従来通り物価2%目標に自信を示すと、「異次元緩和」の縮小と解釈され、円買いが強まります。これまで以上に過剰な表現を使わないと日銀の強気なスタンスは円買い要因になってしまいました。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする