ドルは上値が重い、110円回復に障害も

本日のドル/円は上値の重い展開となりそうです。アメリカの雇用情勢の改善による引き締めペースの加速期待は、上昇圧力として継続する見通し。ただ、世界的な貿易摩擦とヨーロッパの政治リスクは、心理的節目110円回復を目指すドルの重石となるでしょう。

米U6失業率は2001年以来の低水準

6月1日のドル・円は、アジア市場で108円72銭を付けた後は小じっかりの値動きとなり、NY市場で109円73銭まで値を切り上げました。スペインの政局でヨーロッパの政治的混迷への懸念は払しょくされていませんが、イタリアの混乱への警戒はいったん後退するとともに、米経済指標の強い内容を背景に利上げ回数の増加に期待が高まりました。109円半ばで取引を終えたことで、節目の110円が視野に入っています。
ドル上昇の原動力となったのは、アメリカの5月雇用統計と同ISM製造業景況感指数です。雇用統計のなかでも、非正規雇用を余儀なくされている正規雇用を望む労働者まで、対象に含めたU6失業率は2001年以来となる7.6%と、前月の7.8%からさらに低下、雇用情勢の改善が裏付けられました。それにより引き締めのスピードが速まるとの観測から、10年債の利回りは2.91%台に上昇し、ドルを押し上げました。

ドル安前提のトランプ政策に警戒も

週明けアジア市場は、109円台半ばからのスタートとなり、5月24日以来の110円台回復に期待が高まっています。ドルの値動きを振り返ってみると、5月は2度の110円ワンタッチの後、終値ベースで大台を回復したのは5月15日。その後ザラ場では111円台に水準を切り上げたものの、終値は110円台に押し戻されています。109円台後半から上値が重くなる見通しで、目先の上昇シナリオに自信を持てません。
一方、スペインの政局は、新首相の選出によりそれほど材料視されませんでしたが、政権基盤が弱いため再選挙となれば反欧州連合(EU)勢力が拡大するリスクはイタリアと変わりなく、政治の混迷に懸念は続くでしょう。6月は石油輸出国機構(OPEC)総会での需給緩和観測を背景とした資源国通貨の下落、あるいはトルコ大統領選・議会選をきっかけとした新興国通貨の弱含みで、欧州政治を含め円買いに振れやすい見通しです。
そもそも、アメリカのトランプ大統領はドル安を前提とした政策運営を進めており、鉄鋼・アルミ製品の輸入制限など保護主義的な姿勢を今後もを崩さないでしょう。連邦準備制度理事会(FRB)の6月利上げは織り込まれているので、12-13日に開かれる連邦公開市場委員会(FOMC)まではドル高基調となるかもしれませんが、その後についてはドルの押し上げ要因は見当たらないのが実情です。
■主な注目材料
08:50 日マネタリー・ベース
09:30 インドネシア5月PMI
10:00 豪5月HIA新築住宅販売件数、1-3月期企業売上高、4月小売売上高
15:00 ルーマニア4月生産者物価指数
16:00 トルコ5月消費者物価指数、同生産者物価指数
16:15 スイス1-3月期雇用水準
16:30 スウェーデン1-3月期経常収支
17:30 英5月建設業PMI
22:00 シンガポール5月製造業PMI
23:00 米5月雇用情勢インデックス、4月耐久財受注、同製造業新規受注
休場:ニュージーランド、アイルランド、コロンビア、ベネズエラ

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