ドルは戻りが鈍い、米通商政策が重石に

本日のドル/円は戻りの鈍い値動きとなりそうです。来週の連邦公開市場委員会(FOMC)を控え、金融正常化堅持への期待からドル売りは限定的となる見通し。ただ、主要7カ国首脳会議(サミット)での議論紛糾が予想され、買いは入りづらいと予想します。

ドル110円台では売り圧力

6月7日の取引でドル/円は110円台を維持することができず、109円70銭で取引を終えました。その前日から200日移動平均線付近で上昇が抑えられたことから、上値の重さを嫌気した売りが観測されています。7日のアジア市場終盤にはアメリカの10年債利回りが3%を目指す場面もありましたが、ドル買いは続かず、逆にNY市場で利回りが2.9%を割り込んだタイミングでドルは109円48銭まで弱含んでいます。
8日のドルは底堅いものの、110円前半以上に水準を切り上げるのは困難とみられます。12-13日に開催されるFOMCで連邦準備制度理事会(FRB)は政策金利を引き上げ、さらに9月と12月にも利上げを実施するとの観測からドル売りは慎重になるでしょう。一方で、今週末にカナダで開かれるサミットや12日の米朝首脳会談など重要な政治イベントで不測の事態に備えようと、ドル買いにも動きづらい状況となりそうです。
特にサミットでは、トランプ政権の保護主義的な政策は欧州連合(EU)の報復措置を招き、アメリカ経済にとって、さらには世界経済に悪影響を及ぼすとの懸念が強まるかもしれません。貿易問題で「アメリカVS他6カ国」の対立構造が鮮明になれば、警戒の円買いはドルを下押しする可能性があります。

ユーロの値動きに警戒も

一方、欧州中銀(ECB)の複数の当局者は資産買入れプログラム終了に言及し、14日開催の理事会で出口戦略に関して示唆されるとの見方が広がっています。ユーロ/ドルは7日、それを受け2週間超ぶりに1.18ドルを回復。イタリアの政治的混迷の回避で過度な警戒が緩んだことも、ユーロ買いを支援しました。ただ、ユーロ圏の経済指標は引き続き回復ペースが鈍いため、足元のユーロ買戻しはピッチが速いと思われます。
本日は様子見ムードが広がるなか、ユーロ/ドルの調整の売りが出ればドル/円を小幅に押し上げる可能性はあるでしょう。ただ、前日はトルコ中銀が利上げに踏み切りリラ売りを抑制したにもかかわらず、リラにはなお下落圧力がかかるなど、新興国のぜい弱さも意識されています。安全資産への逃避で米国債などを選好する動きが見込まれ、ドル/円は110円台を回復しても引き続き上値の重い展開となりそうです。
■主な注目材料
07:00 ペルー中銀定例会合/政策決定
08:50 日1-3月期国内総生産、4月経常収支
10:00 中国5月貿易収支
フィリピン4月貿易収支
14:00 日5月景気ウォッチャー調査(現状判断)
15:00 独4月貿易収支、同鉱工業生産
16:00 チェコ5月失業率
16:00 ハンガリー5月消費者物価指数、4月貿易収支
17:00 台湾5月貿易収支
ユーロ圏5月消費者物価指数、4月貿易収支
17:30 英4月鉱工業生産
18:00 アイスランド1-3月期国内総生産
20:00 チリ5月消費者物価指数
20:50 オマーン消費者物価指数
21:00 ブラジル5月消費者物価指数
21:30 カナダ5月雇用統計、1-3月期設備稼働率
休場:パキスタン、バングラデシュ
6月9日
10:30 中国5月消費者物価指数

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