【JPY】サミット不調も買いは限定的か

6月8-9日にカナダで開催された主要7カ国首脳会議(サミット)は、通商政策をめぐりアメリカと他の参加国が対立したまま閉幕し、今後の貿易戦争に暗い影を落としました。ただ、今週は円売りに振れそうなイベントが予定され、差し当たり円買いは限定的となりそうです。

米大統領は孤立化で途中退席

報道によると、サミットでは主要議題となった貿易問題でアメリカによる鉄鋼・アルミ製品の輸入制限を6カ国が強く批判。それに対し、トランプ大統領は巨額の貿易赤字を受け入れることはできないと反論し、議論は平行線となりました。両者の主張が一致しないまま首脳宣言はいったん採択されたものの、トルドー・カナダ首相とのやりとりに腹を立てたトランプ大統領は首脳宣言を承認しない方向に転じました。
トランプ大統領が就任してから約1年半。裏と表を使い分け、外交面で他国からの要請などに応じながら主張を押し通すのではなく、少しも譲ることなく力によってすべて押し通すタイプの人物であることを世界は痛感しています。欧州連合(EU)は7月からアメリカに対し報復関税を導入する方針で、欧米が長年にわたり自由貿易などの価値観を共有してきた時代は終わり、貿易戦争は避けられない状況になりました。

円安か円高か今年の「天王山」

ドル/円は年明けから下落基調に振れた後、3月下旬から回復トレンドに転じました。5月末にはイタリアの政治情勢に不安が高まりやや値を下げたものの、底堅い値動きが継続。目先は回復トレンドを強めるか、あるいはドル安/円高に逆戻りするか、どちらにも転ぶ可能性があります。6月11日から始まる週は、日米欧の中銀による政策決定と史上初の米朝会談という重要イベントが集中し、ドル/円は「天王山」を迎えています。
週明け11日は様子見ムードが広がるかもしれません。12日の米朝会談を控え、金正恩朝鮮労働党委員長はすでに会談が行われるシンガポールに到着。トランプ大統領も、サミットを途中退席してシンガポールに向け出発しています。会談が開かれる2日前に現地入りとは、両者はよほどこの会談を楽しみにしているのでしょうか。12-13日は波乱がなければ円売りに振れやすい地合いとなりそうです。

FOMC後の声明に警戒も

焦点は12-13日の連邦公開市場委員会(FOMC)でしょう。政策金利の引き上げはほぼ確実視され、金融正常化方針を目先も維持できるかが特に注目されています。足元の堅調な経済指標から引き締めの回数が市場コンセンサスの3回から4回になるとの期待が膨らむなか、ユーロ圏の政治情勢などリスク要因に言及した場合には貿易戦争を懸念した円買いも加わり、日本時間14日未明からドルを大きく押し下げる展開が予想されます。
つまり、FRBがタカ派的なら貿易戦争への懸念を弱め、ドル売りを後退させる手がかりとなるでしょう。14日の欧州中銀(ECB)理事会と14-15日の日銀金融政策決定会合での決定内容は、ある程度織り込まれているようです。ECB当局者は出口政策に言及しているものの、経済指標はそれを強力に後押ししておらず、ユーロ/ドルはユーロ買い/ドル売りを進めづらい見通し。また、新興国通貨安への警戒が限定的なら日銀の「異次元緩和」継続は円売り要因となりそうです。

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