ドル上げ渋り、英政局リスクを注視

本日のドル/円は上げ渋る値動きとなりそうです。欧州連合(EU)からの離脱をめぐりイギリスの政治情勢に不透明感が広がり、ドルへの押し上げ圧力は継続。ただ、依然として米中貿易戦争への懸念から、ドルの111円台定着を見極める展開を予想します。

米インフレ指標の動向を意識

7月9日の取引は、アジア市場では動意の薄い値動きとなったものの、海外市場ではイギリスのEU離脱をめぐる政局リスクの浮上を受けユーロ/ドルとポンド/ドルが弱含み、ドル選好地合いが強まりました。ドル/円はアジア市場で110円前半から半ばを中心としたレンジ取引となる一方、NY市場では110円90銭まで強含む場面がみられ、値持ちしたまま110円83銭で引けました。本日もドル選好地合いは続きそうです。
10日のアジア市場早朝の取引で、ドルは110円90銭台で推移。前日のNYダウ大幅高など米株高を背景とした日本株高で円売りが先行し、ドルは111円台回復が視野に入っています。ただ、引き続き米中通商摩擦はドル売り/円買いの要因として意識されるほか、アメリカの生産者物価指数(11日)と消費者物価指数(12日)を見極めるムードが広がるでしょう。このため、ドルが上値を追う展開は想定しづらい状況です。

英政局リスク浮上でポンドは?

ところで、ポンドは早ければ8月の英中銀金融政策委員会(MPC)での追加利上げへの期待から6月末以降は回復基調が続き、前週発表された堅調な経済指標もポンドを押し上げてきました。ただ、ここへきてEU離脱に不透明感が増し、ポンドを押し下げています。メイ政権のソフト路線に反対してきたデービスEU離脱担当相とジョンソン外相が相次いで閣僚を辞任し、政権の弱体化を背景にポンド売りは継続の見通しです。
メイ首相にとって打撃は大きいとの見方から、ポンドが売られやすい地合いはなお続くでしょう。反面、ハード路線の2閣僚の交代により、今後の交渉はかえってスムーズに進むとの見方もできます。仮にジョンソン氏が目論見通りに首相に就任した場合、これまで積み上げてきた交渉が白紙撤回されてしまえば国内経済の混乱が見込まれ、国民投票後のポンド急落のような状況が予想されます。
保守党内のメイ氏の求心力は相当に弱まっているものの、解散カードはあります。イギリスの議会は任期5年で首相の解散権は制限されていますが、内閣不信任決議案の可決、下院の3分の2以上による決議があれば解散は可能です。実際、昨年6月の総選挙からまだ1年しか経っていないので困難かもしれません。また、保守党惨敗でメイ首相退陣のリスクもあります。ただ、国民投票から2年を経過し、離脱の難しさなどが明らかになった現状を踏まえ、選挙に踏み切るという選択肢があってもいいはずです。
■主な注目材料
08:00 英6月BRC小売売上
10:00 フィリピン5月貿易収支
10:30 豪6月NAB企業信頼感
中国6月消費者物価指数、6月生産者物価指数
15:00 日工作機械受注
デンマーク6月消費者物価指数
エジプト消費者物価指数
15:00 ノルウェー6月消費者物価指数
16:00 ハンガリー6月消費者物価指数、5月貿易収支
17:00 ユーロ圏6月消費者物価指数、同貿易収支
17:30 英5月貿易収支、建設生産高、鉱工業生産、製造業生産
18:00 独7月ZEW景気指数
ユーロ圏ZEW景況感指数
18:30 南ア6月企業マインド
21:15 カナダ6月住宅着工件数、建設許可件数
23:00 米5月JOLT求人

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