ドル下げ渋り/リラ安ワンダーランド

本日のドル/円は下げ渋る値動きとなりそうです。ドルと円以外の主要通貨が買いづらいなか、足元のトルコリラ安を背景に市場の混乱への警戒が広がり、円買い主導の展開が見込まれます。ただ、インフレ指標の強さを考慮すると、ドル売りは見込みづらい状況です。

堅調な米CPIで利上げ継続

8月10日の取引は、ドルと円に買いが入りやすいなか、トルコリラの急落に伴う混乱でリスク回避の円買いが鮮明にとなりました。格付け会社フィッチがその前日にエルドアン政権の経済や外交の政策運営の拙さを指摘するとともに、リラ安に歯止めをかけることの必要性を強調していました。それも伏線となりリラはアジア市場や欧州市場で幅広く売り込まれ、対ドルでは実に20%超も下げました。
リラ急落を受け、ヨーロッパの金融資産の劣化などに懸念が強まり、ユーロ/ドルが急激に値を下げます。サポート・ラインの1.15ドルを割り込むと、高値で購入した投資家の投げ売りがNY市場まで続き、1.1388ドルまで10%超も下落。その影響から、リスク回避の円買いでドル/円は110円51銭まで下げた後は底堅い値動きに。その日発表された消費者物価指数(CPI)の堅調な内容も、利上げ観測でドルを押し上げました。
週明け13日のアジア市場早朝で、ドルは110円60銭付近で推移。今週は日本の夏季休暇で薄商いのなか、この後は日本株安を手がかりとした円買いが先行し、ドルは値を下げる見通しです。また、リラは先安観が続き、ユーロ/ドルも1.13ドル台と前週末からの混乱は収束していないようです。ただ、トルコに対する過度な懸念が後退すれば、前週末の動きを修正する可能性はあります。

トルコは夏の観光最盛期

エルドアン大統領は、足元のリラ急落を猛暑や台風のような天変地異、あるいは欧米から仕掛けられた陰謀のように位置づけ、国民に対し手持ちのリラをドルに両替するよう訴えています。確かにアメリカのトランプ大統領がトルコからの輸入製品への制裁関税に言及しなければ、ここまでのリラ安にはならなかったでしょう。しかし、言うまでもなく、エルドアン政策がリラ売りの最大の要因です。
トルコの経済はいつ、どのように破たんするのか、つまりどこまで持ちこたえることができるのか、といった市場の関心も高まっています。ポテンシャルが高いとはいえ、2011年以降リラは一貫して下げ続け、輸入物価の高騰で今や消費者物価指数は2ケタ台。エルドアン政権はそれでも中銀の利上げを許さず、メディアや世論の政権批判も封殺しており、それでもなぜ破たんしないのか、確かに不思議です。
ただ、現在は観光シーズンでトルコへの渡航者が増加する最盛期で、それに応じたリラ買い需要から足元の下落に一定の歯止めをかける可能性はあります。トランプ政権に対抗して、ロシアや中国からの支援があるかもしれません。とはいえ、金融市場の流れは速いので予断を許せず、週明けアジア市場は警戒は続きそうです。
■主な注目材料
09:00 シンガポール4-6月期国内総生産
13:30 独6月小売売上高
13:30 ノルウェー7-9月期消費者信頼感
15:00 スウェーデン7月失業率
16:00 ハンガリー6月工業生産高
17:00 チェコ6月経常収支
19:00 イスラエル7月貿易収支
20:30 インド6月鉱工業生産、製造業生産、7月消費者物価指数
21:00 ポーランド6月経常収支
休場:タイ、チュニジア、ジンバブエ

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