為替月間予想:米利下げサイクル入りで弱含みか、欧州通貨が下支えも

2019年8月のドル/円は弱含む展開となりそうです。主要中銀の緩和方針が鮮明になるなか、米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げサイクル入りでドル売り基調の見通し。一方、ユーロやポンドなど欧州通貨売りが続き、ドルを下支えする場面もあるでしょう。



流れを変えたFRB議長の議会証言

7月のドル/円はレンジ相場となり、108台中心のもみ合い。107円前半は下値の堅さが目立つ一方、109円以上は売りが強まり方向感の乏しい値動きが続きました。7月30-31日の連邦公開市場委員会(FOMC)に向け、FRBによる政策金利の引き下げ幅は25bpにとどまるか、それとも50bpに踏み込むか思惑が交錯。特に、パウエルFRB議長の議会証言では予想外のハト派姿勢でドル売りが強まる場面もありました。

ただ、FOMCのメンバーではハト派に位置づけられるセントルイス連銀総裁の大幅利下げ不要の見解をきっかけに25bp利下げに市場の見方は傾いていきました。その後、26日に発表された4-6月期国内総生産(GDP)が+2.1%と、予想を上回り大幅利下げの観測は後退。一方、米株式市場は強気相場が続き、指数の過去最高値更新が続きましたが、金融政策をにらみ7月後半は伸び悩み、ドルの押し上げ効果は薄れます。

FOMCは「25bp×複数回」か

FOMCでの25bpの利下げと年内複数回の利下げ示唆をメーンシナリオとすると、ドルは買いづらい展開となりそうです。雇用統計で失業率は半世紀ぶりの低水準を維持していますが、パウエル議長は失業率の低下とインフレ上昇の相関性は低下しているとの見方を議会証言で示しています。アメリカの経済指標は強弱まちまちですが、議長の見解を考慮すると利下げ回数は1回で打ち止めにはならないとみます。

22-24日にワイオミング州ジャクソンホールで開催されるカンザスシティー連銀主催の年次シンポジウムは、「金融政策における課題」が今年のテーマ。2年前は主要中銀が金融正常化を宣言する場になりましたが、今回は利下げの正当性を論じ合う会合になりそうです。そのイベントに限らず、欧州中銀(ECB)は域内経済の回復の遅れが顕著なため、9月の利下げに向け地ならしを進めそうです。

また、英中銀は新政権の発足を受け、政策スタンスが注目されます。ジョンソン首相の就任で、イギリスでは合意なき欧州連合(EU)離脱が現実の問題として認識され始めました。ポンド・円は7月に137円台から133円台に軟化しており、心理的節目の130円を割り込む可能性もあります。ポンド・ドルも下げ止まらず下値を模索する展開となれば1.20ドルが視野に入るでしょう。
ECBや英中銀に加え豪準備銀も緩和的な金融政策を長期化させる方針を打ち出しており、主要通貨売りを背景にドルが選好される場面もありそうです。ただし、ドルは消去法的な買いにとどまり、持ち直すシナリオは描きにくい状況です。



主な注目材料

英中銀金融政策委員会(1日)
米7月ISM製造業景況指数、6月建設支出(1日)
米7月雇用統計、6月製造業新規受注、7月ISM非製造業景況指数 (2日)
豪準備銀定例会合(6日)
NZ準備銀定例会合(7日)
日4-6月期国内総生産(9日)
米7月消費者物価指数 (13日)
中7月小売売上高、7月鉱工業生産(14日)
米7月小売売上高、8月NY連銀製造業景気指数(15日)
米7月鉱工業生産、7月設備稼働率、8月フィラデルフィア連銀製造業景気指数、7月住宅着工件数(16日)
米連邦公開市場委員会・議事要旨(21日)
ジャクソンホール年次シンポジウム(22-24日)
米7月耐久財受注(26日)
米8月消費者信頼感指数(27日)
米4-6月期四半期実質国内総生産・改定値(29日)
7月個人消費支出(30日)
(日程は変更になることもあります)

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